2019年9月13日金曜日

まんまるスリングとアップサイクル

昨年の今頃の季節から使い倒してきたスリングを茜染めしました。







そして今日、東京の友人の元に届くはずです。


生後2ヶ月くらいだから、使い始めるのにちょうどいいんじゃないかしら。

ちなみに最初に使い始めるのは、母というより父ではないかとも思ったり。

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スリングに赤子を入れての、母の手仕事は注意がいりますよね。

そもそも火を使ったり、水を使う仕事は、産後100日以降がおすすめだといわれています。

洗濯、食器洗い、炊事全般、やりたくなる気持ちもわくかもしれませんが、なるべくひかえたほうがいんだろうと、僕も思います。

特に産後の女性はお産によって「精」をすごく使った後なので、立つのも辛かったり、ずっと横になっていたりすることもあるでしょう。

精はエネルギーを集める力や蓄える力。

精を使ったあとは、集中力が続きにくかったりします。

なので、集中力を要するような刃物仕事や、針仕事は控えた方がいいということなのでしょうね。

「本を読むのがしんどい」という人もいます。

スマホやPCとなったらなおさらでしょう。

そういう仕事は産後はなるべく控えて、イメージとしては「精をたくわえなおす」のがいいのでしょう。


ホルモンバランスや自律神経のバランスを見ても、産前の十月十日もジェットコースターのようだという人は少なくないといいますが、産後にやってくるバランスの変化もまた、産前のそれとは種類の違うジェットコースターのようだともいわれています。

体のシステムそのものが、「胎児に栄養を供給しながら、子宮を通常時の300倍以上の大きさに育てていくシステム」から「お腹の中の胎児が突然いなくなり、体外にいる赤子に母乳を送るシステム」
に急激に変化していく。

その関係でホルモンバランス、自律神経バランスが変化していくのですね。

とにかく産後3ヶ月くらいは、母体そのものと新生児の様子に繋がり続けることを大切に、家事すらも「体外的なこと」として優先順位の低いものとして、誰かに委ねられたら理想、といわれています。

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理想は理想。

現実は現実。

実際それは難しい。

そう思います。

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でも、工夫の仕方を少しでも知っておくと、できる範囲での工夫ができる、ということはあるように思います。

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お産を経験したことがある人と、経験したことがない人と、現在進行形で経験中の人とが、垣根を越えて集える場所、立場を越えて「お産」について語り合える空気、増えていったらいいな、と思います。

「昔はあったよね」
といういろんな素敵なものを、どのようにして取り戻していけるんだろうと思ったりもします。

昔がすべてよかった、ということではなく、シンプルに、とても参考にあるあり方や工夫が、いろいろあると感じます。


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ということでスリングに話を戻します。

赤ちゃんはどうも、揺られることが好きなようで、スリングに入れて歩いたり、ゆらゆらしていると、ぐずりが収まることがあります。

慣れてくると、洗濯、掃除くらいは、赤ちゃんをスリングに入れたままでもできると思います。

そしてスリングの使い方のオススメが「まんまるねんね」

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この本に、だいぶ救われましたー。

ここに著者の解説なども載ってます。

(以下、引用します)

赤ちゃんの体をゆるめてまんまる子育て
赤ちゃんが泣きやまない、いつもぐずっている、泣いている理由がわからない…と悩んでいませんか?
そんな悩みを解決してくれるのは、赤ちゃんを「まんまる」の姿勢にしてあげること。
スーッと落ち着いて穏やかな表情になり、ぐっすり寝てくれます。
まんまる抱っこや寝かせ方、発達を促す遊びやベビー体操まで「赤ちゃんの体をゆるめる」方法がわかる、トコちゃん先生のベビーケア決定版。
「まんまる」で、ニコニコ・スヤスヤの赤ちゃんに!



紹介してくれたシンシア、本当にありがとう!

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産後の赤ちゃんは、1日の中のほとんどの時間、寝ているといいます。

そして産後間もない赤ちゃんは、お腹の中にいたときと同じような姿勢になっていると落ち着くようです。

その姿勢が「まんまる」です。

知らない人が見ると、「え?そんなにまんまるにしちゃっていいの」というくらいの姿勢になっていると、落ち着くようです。

こんな形です



※先ほどの、トコちゃんのブログから画像を拝借しました。


この巻いた状態は「おひな巻き」といいます。

タオルケットやシーツやバスタオルで、この「おひな巻き」はできます。

最初はこの形にするといやがるかもしれませんが、すぐ慣れると思います。

特に産後すぐは、授乳するとそのまま寝落ちする子は多いと思いますが、その寝落ちのタイミングでそっと「おひな巻き」をしてあげると、すやすや眠ることが多いです。

おひな巻きをしないときでも、枕を高めにして、腰のあたりにも枕を入れてあげて、体の形をまんまるに近い状態にしてあげると、よく寝ます。

ということでまんまるねんね、おすすめです。

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抱っこするときもまんまるにして抱いてあげるといいし、スリングに入れるときも、カンガルーみたいに、胸の前あたりに、まんまるに入れてあげると、かわいくおさまり、だいぶ落ち着きましたね。

散歩に行くときは、スリングにまんまるに入れて歩いていると、気づくと寝てたりします。

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生まれてきて、、、
首がすわるようになり、、、
寝返りがうてるようになり、、、
ずりばいができるようになり、、、
はいはいができるようになり、、、
つかまりだちができるようになり、、、

といった過程の中の、とりわけ「寝返りがうてるようになる」までは、スリングとまんまるねんねはとても重宝するのではないでしょうか。

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そしてとても強く思うことは、継承のこと。

僕がスリングでのまんまるねんねを体得したのは、経験者に「着付け」をしてもらってからでした。

スリングの装着の仕方、調整方法、実演してくれたことで、なるほどー!となりました。

こういう「引き継ぎ」みたいなことができるつながりを、増やしていきたいです。

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スリング、使う時期って多分1年弱でしょう。

それで使い終わりなんです。

そのままタンスに入れたら、肥やしになってしまいます。

でも、本当は、使いたい人が新たに生まれているはず。

写真に載せたスリングも、本も、受け継がれて、僕たちのところにやってきました。

こういったものを、バトンのように渡していきたいと強く思います。

そのとき、ノウハウだけではなく、物だけではなく、体験してきた思いや感情などもシェアしていけるといいですよね。

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そして物も「アップサイクル」していきたい。

ということで、染め直しました。

もともと、写真のスリングは、染めていない状態で頂いたもの。

それを、1年使い倒して、
「そのまま渡すのはちょっと・・・」
と思いました。

そして茜染めしたら、かわいくなりました。

受け取って、使って、染め直して、渡す。

そんな循環ができたらいいな!


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この2枚のタンクトップは、おさがりとしていただいた物。

いただいて、工房で染めて、着せています。

ロボットやスヌーピーやミッキーマウスが藍や茜や麻炭や弁柄で染まっていきます。

オーダーメイドでいろいろなものを染めていると、必ず「あまりの染料」がでてきます。

その「あまりの染料」で、産着を染めています。

産着は小さいので、サクッと染まります。

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乳飲み子の成長は早いので、産着はすぐに小さくなります。

産後6ヶ月くらいで、最初に来てた服はもう着れなくなりました。

そうなったら、染め直して、これからお産を迎える友達にプレゼント。

染め直して、渡す。

バージョンアップ。

アップサイクル。

「おさがり」というより「おあがり」。


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「炊事洗濯家事染色」
という言葉を、弁柄工房「古色の美」のぶっさんが語っていました。

なるほどなーと思います。

日々の仕事の合間に、染色を。

家事の一部としての染色。

いきなりそんな暮らしにシフトすることが難しくても、
たまに、ならできるかもしれません。

みんなで、ならできるかもしれません。

そういう場を持ちたいですね。




使わなくなった産着を集めて、みんなで染める。


妄想としてはありありとそんな場を描いていますが、実現はあまりできていません。

まだ今は、一人で仕事の合間に産着を染めるくらいの感じです。

「世の中には、本当は誰かに手渡したいけどそのままになっている産着がたくさんあるんだろうな」
とか
「自分一人では難しいけど、誰かと集って染めたりできたらいい、と思っている人はいるんだろうな」
とか思います。

でもそんな思いを集めたり、まとめたり、場をつくるエネルギーが、今の僕にはまだ足りないな。

僕自身が、子育てと仕事といろんなことに忙しい。

でも、こうやって書くことができるところまでは来れた。

この記事を読んで、私もそう思う、とか、一緒にならやれるかも、と思ってくれる人がいたらうれしいです。




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