2019年9月16日月曜日

保養とごはん②

「保養とごはん①」はこちら⇩





▪️スウェーデンとベラルーシの市民科学

僕が素敵だな、こんな風にやりたいなと思っているのは、この本『スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか』のようなことです。



スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか』
防衛研究所+農業庁+スウェーデン農業大学+食品庁+放射線安全庁共同プロジェクト訳:高見幸子・佐藤吉宗
出版:合同出版
(21012年2月)


この本はスウェーデン政府、研究所、大学が共同で研究してきた内容の記録です。

スウェーデンの防衛研究所、農業庁、農業大学、食品庁、放射線安全庁が共同で「チェルノブイリ原発事故のとき、自分たちは超あわててパニクったけど、20年粘り強く向き合ってきて、わかったことがあるから書くね」といって出してくれた本なのです。

これが今、僕たちに必要なスタンスだと思っています。

福島第一原発事故からまだ10年も経っていません。

事故の原因についてすら、あらゆる事故調査委員会が「津波が原因」と言っていますが、本当は「地震ですでに原子炉が破損し、メルトダウンに向かっていた」という事実もわかってきています。

しかし政府や電力会社や自治体は「津波対策」をしている。

この例が象徴的なように、日本社会はまだ「対策を講じる」スタートラインに立つための「正確な情報の共有」すら、納得できるレベルになっていないのが現実ではないでしょうか。

そのような状況の中で、何がいいとか悪いとか、何が正しいとか間違っているとか、結論探しの議論ばかりしていてもしかたがありません。

現場に立ったり、実践や研究をコツコツと積み重ねている人達にスポットがあたっていません。

でも実際は今、結論ではなく、現場が大事です。

研究、検査、測定、保養活動、移住支援、医療活動、やるだけやって、後でいろいろまとめればいいと思うんです。

(注:そう思っていた矢先に全国の市民測定所が計測してきた食品や土壌の汚染状況をまとめた本がクラウドファンディングで出版されました。その支援総額や発行部数は予想以上で、想像していた以上の人達がこのことに関心を持っているということもわかりました。)

この本(スウェーデンの本)には「最初は慌てふためいてパニックになってグルグルでした。でも、いろいろやって、ようやくわかってきたんですけど、トナカイは結構草を食べてしまって被ばくしてしまうので、下草を食べさせるのはやめたほうがいいですよ」というようなことが、あらゆる分野に渡って書いてあります。

これは一つの例ですが、他にもあとからわかったことがたくさんあるんです。

日本では、1年目、2年目から「放射能のことは気にするな」という人たちが福島県内だけでなく、各地で活躍していて「気にするとお前を孤立させるぞ」というような怖いことを言うので「じゃあ測るのもやめた」といった流れになってしまっているんですが、今測定しなくてどうするんでしょう。

いろいろと測り続けていればわかることがあります。

秋、鹿が一番草を食べるとき、鹿肉はやばいとか。

ストロンチウムは骨に溜まりやすいとか。

こういうことはわかっていたら便利だけど、わからないなら自分たちで調べるしかありません。


僕は、市民測定所をとてもリスペクトしています。

それは「政府がやらないなら、やめる」ではなく「自分たちでやろう」と自ら動いているからです。

茨城の常総生協は、食品の測定をしまくっているし、自分たちなりの基準値も設けています。

政府が測らないなら自分で測る。

政府の安全基準値がおかしいと思うなら、自分たちで基準値を作る。

そういう積み重ねが大事だと思います。

スウェーデン政府は、チェルノブイリ原発事故を最初に見つけた国です。

ロシアは大事故を起こしたにも関わらず、当初隠していました。

スウェーデンのとある原発のサイト内で空間線量が上がっている。

(注:フォルスマルク原発。チェルノブイリ原発から1100キロ離れている。)


何か起きているに違いないと思って、原子炉を停止してみても、空間線量は下がらない。

国内では何も起きていないらしい。

どこかで何か起きていませんかと呼びかけたら、ロシア(旧ソビエト)政府がようやく認めた。


そういう流れだったので、スウェーデンは最初からこの原発事故に対して主体的に動けたのです。

あと、ベラルーシに辰巳雅子さんという女性がいて、ベルラド放射能安全研究所が発行した書籍の日本語訳などをされています。

彼女は福島第一原発事故前から動いていて、いろんなレポートを日本語に訳す仕事をしています。

その辰巳さんと京都大学原子炉実験所の今中哲二さんが翻訳した本が「自分と子どもを放射能から守るには(日本語版特別編集)」です。






ベラルーシ放射能測定所でわかってきたこと、例えば、どういう食品が体に移行しやすいとか、どういう食べ物に気を付けたほうがよいかなど。

さらに、食物連鎖によって濃縮することもここに書かれています。


例えば木の実、タケノコなどがそうです。

日本でも気にしている人はすでにどういうものが汚染されているかを知っていますが、怖がり過ぎて、怖がる対象を見ていない人ほどうっかり食べてしまいます。


本当にしっかりと見ていれば、見えてきます。

農業をしていて、カリウムを吸う野菜は蓄積しやすいとか。

解毒作用のあるヨモギやローズマリーなど、環境中の有害物質を吸い込んだり、人間の体に入っても毒素を吸い取ってくれるような薬草も相当被ばくします。

「風の谷のナウシカ」に登場する「腐海の森」と同じです。

人類がばらまいた汚染物質を吸着してくれるヨモギやドクダミなどの植物は放射性物質をすごく吸っています。


▪️極陰性=被ばくの実感


では、果たして放射性物質を吸っているヨモギやドクダミは摂ってはいけないのか、それとも体内の毒素を吸着してもらうために摂ったほうがいいのか。

そこは、意見が明確に分かれています。

分かれていいと思います。

それぞれが自分なりの立場と考えと実感から、その時々で選択をしていけばいいと思います。

「誰かがそう言っているから」という形で判断したり、人の基準値を鵜呑みにして自分なりの基準値を設けるのはおすすめできません。

ちなみに「セシウムが移行しているとおぼしきものは何ベクレルかにかかわらず、摂らない」が僕のスタンスです。

具体的には1Bq/kgあったら摂りません。

なぜ摂らないのか。

ひとつは「まあここまではいいか」という妥協をしたという意識そのものが、放射能や原発稼働への警戒心をゆるめたり、誰かに何かを真摯に伝えようというときに「まあ(伝えなくても)いいか」となってしまったりする原因(なにかにつけて妥協する原因)になるということを痛感しているからです。

そして、自分自身の感覚の中に「被ばくの実感」があるかどうかも、大きいかもしれません。

僕は、低線量被ばくの急性症状が出るのではなく、だんだんだるくなるようなことを、何度も実際に体験しています。

原発事故後も、ある場所にいくと原稿を書く気になれないし、朝起きられない。

面倒くさくなる。

そういうことが何度かありました。

場所は言いません。

でもそこの空間線量も土壌の線量も、ウクライナ、ベラルーシでいえば「移住権利区域」のそれと一緒です。

さらにガイガーカウンターで雨どいの下などを測ると「移住義務区域」のそれと一緒でした。

もちろん他の要因が考えられないわけではないけれど、ガイガーカウンターで測定すると明確に高い。

そんな場所に滞在していて、自分のメンタル、フィジカルの状態がどんどん下がっていくのを感じました。

あぁ、この症状は、消去法でいろいろ見ていっても、被ばくしか考えられないなと、実感しました。

その体験があってから、さらにセシウムについて勉強し始めました。

だるくなる、面倒くさくなる、人まかせにしたくなるというのは、いわゆる陰性体質です。

甘えん坊になります。

昔は、それを「原爆ぶらぶら病」と言っていました。

今はこの言葉は差別用語とされていて「原爆症」としか言えないけど。

横になりたい、座りたい、眠い、むくむ、座りたい、内臓が下に下がる、人にすがりたくなる、人に甘えたくなる、自分でやる気が起きないなど。

それは、自分に根本的にエネルギーが足りないからです。

他にも、フワフワと妄想ばかりしてしまう。

広島の肥田舜太郎先生が臨床していると、とにかくそういう患者が多かったそうです。

1時間くらい面談していると、「私座っていられないので、横になって話を聞いてもいいですか」と言う患者が多かったそうです。

それは、電磁波や白砂糖なども同じです。

白砂糖に限らず、甘いものが多いと体はすごく酸化します。

化学物質、抗生物質、糖分、電磁波、多めのたんぱく質や油、残留農薬など。

それで血液が酸化すると、機能が低下して、だるい、むくむなど陰性体質になり、下痢とか便秘になります。

それは気づきにくいです。

けれど、僕は日ごろから陰陽五行や断食で自分の体を見ていたので、なんか入っているなぁと感じました。

学生時代によく飲んでいた安い焼酎「トライアングル」を飲んだ翌日の感じだと。

そして、これは絶対に被ばくだと思いました。

そこで、鉄火味噌や梅干しをそれまで以上に摂るようにして、それで復活しました。

やっぱりそうだったんだと。

対処をしてみて、その結果を受けてさらによくわかりました。

極陰性は、緩みやすい、だるい、たるむ、冷える、甘えん坊になるなどの陰性が行き過ぎている状態。

そういうときに、引きしまっているもの、長く火を入れているもの、長期熟成させたものなどを摂ってシャキッとした、バランスがとれたということは、やはり極陰性のものを摂っていたということがわかりました。

被ばくを実感して、「これはたまらない」と思いました。

これが続いていけば必ず内臓に影響が出ると思ったし、遺伝子を傷つけるだけのパワーがあると思いました。

僕の遺伝子は影響が出かねないと今も思っています。

僕は本当に、身にしみたんです。

理屈ではないんです。

そしてそういうことを体験してみて、体験していない人にはわからないかもしれないなとも思いました。

それはとても寂しいことですが、でもそう思ってしまいました。

だから今も、今ピンと来てない人までふくめて、やたらとみんなを分からせようとするという必要はないと思っています。

それはとても疲れることですし。

そしてそれよりもしたいことは、今、自分と同じように「肌身に感じている人」と「どうやって生きていくか」に一緒に向き合っていくことです。

広めるという行為は、もっともっと先の話だと思っています。

それよりも、自分で体感していることにちゃんと向き合っていけば、すでに実践している人に出逢えます。

自分が実践するから出逢えるんです。

これらの本を初めて見る人も多いかもしれないけれど、向き合うと決めたら、出逢えます。

みなさんも今出会っています。

そしていつか、日本に住む僕たちが、ベラルーシやスウェーデン、ウクライナの市民たちと組んで色々やっていけるという話にもなっていくのではないでしょうか。

自分が絶望としっかりと向き合うと、すでに絶望と向き合っていた先輩と出逢えるのです。 

「すごいっすね。もう26年前から始めていたんでしょ。超孤立もしていたんでしょ。バッシングもされていたし。それなのにずっと続けていてくれたんですね。僕なんかよりも孤立していたんだね」って。

日本にもたくさんいます。


(続く)


・・・


保養とごはん①



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冨貴工房

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2019年9月15日日曜日

放射能と保養と養生メモ

福島第一原発事故は、この記事を書いている2019年10月の時点で、収束していません。

そして未だに、原子炉の底をつらぬいて地下に潜り込んだ核燃料は、取り出せぬまま、というか近づけぬまま、になっています。

そのような状況の中で、今も毎日、新たに放射性物質が、放出され続けています。

◎福島第一原発からの放射性物質放出量
2017年12月〜2018年1月:約4億7100万ベクレル
2018年12月〜2019年1月:約9億3300万ベクレル


そこから放たれる放射線によって、近くにある分子の電位異常が起きます。



◎電位異常

通常、陽子と中性子のまわりを、マイナスに帯電した自由電子がグルグル回っています。

この自由電子が、放射線に打たれることで、どこかに飛んでいってしまいます。

そうやって調和状態が崩れた分子が、どんどん増えていきます。

放射性物質が体内にあるということは、放射線に打たれる分子が増えるということ。

打たれて電位が不安定になった分子が増える状態を「フリーラジカル状態」といいます。

そうなると、電子の奪い合いのような状況が起こります。

その過程で活性酸素が生まれます。

活性酸素は、「活性」という言葉が付いているので、「元気そう!」みたいなイメージも湧きますが、この活性酸素は、不安定だから活性しているのです。

活性酸素は、急速にまわりを酸化させていきます。

ここまでのこと、もっと詳しく書くこともできます。

でも、たぶん書くと、専門用語が増えて、読んでて頭がパンパンになってくるような気もするので、とりあえず、はしょります。

そしてまとめます。

・・・

放射性物質が体内に入り込む

電位の不安定な分子が増える

活性酸素が増える

酸化が促進される

ということです。

酸化は、疲れや老化、免疫力の低下を促します。

・・・

細胞も疲れます。

体内環境の酸化が促進されると、細胞膜が弱り、細胞内に放射性物質が入り込みやすくなります。

細胞内に入ってきた放射性物質が、細胞核に放射線を当てると、DNAが損傷します。

DNAは損傷してから修復をしようとします。

しかし、その修復がうまくいかないことがあります。

そのことを「DNAの異常再結合」といいます。

異常再結合を起こしたDNAが増えることで、エラーのある細胞が増えます。

その一部が悪性腫瘍の原因になります。

・・・

酸化が促進される

DNAが損傷しやすくなる

DNAの異常再結合が起こりやすくなる

・・・

放射性物質を体内に取り込まないことはとても大切。

そして同時に、体を酸化させないことはとても大切。

・・・

「カクテル効果」という言葉があります。

「放射性物質を吸ったり、食べたり、飲んだりしやすい環境にいる人は、精白した砂糖を摂ってはいけない」

という言葉を聞いたことがありませんか?

チェルノブイリでも、広島でも、長崎でも、医師からそのような指導があったという話を聞いたことがあります。

なぜ医師から聞く機会が多いのでしょう。

それは、レントゲン検査技師の中で、 X線照射のあとに白砂糖を取らないようにというお達しが、すでに行き渡っていたからだといいます。

でも、福島第一原発事故のあとはあまり聞きませんでした。

その理由はやはり「放射能は人体に影響があると言ってはならぬ」というお達しが行き渡っていたからではないでしょうか。

とても残念なことです。

国や企業が言わないなら、あらためて、放射線防護の基本を、自主的に学び直していきたいと思います。

・・・

カクテル効果とは、放射線と同じように身体の酸化を促すようなものを合わせて摂ると、それぞれの効果が掛け合わさっていくよ、ということです。

たとえば電磁波。

たとえばトランス脂肪酸。

抗生物質。

精製食品(ミネラルや食物繊維の含まれないもの)

ネオニコチノイド。

あとはストレスとか、自律神経の乱れも体内酸化を促します。

腸の冷えなどもそうですね。

これらを、セシウムやストロンチウムと合わせて食べないように、ということです。

・・・

書いていて「この調子で書いていたら何時間かかるんだろう」と思えてきたので、続きはまたにします。

以下はダイジェストです。

・・・

ではどうしよう?

1 放射性物質をとらない

1−1、測る
市民測定所で測ろう。
一度測定所にいくと、いろんな情報に出会える。
汚染の傾向、セシウムが移行しやすい食品の例など。

1−2、傾向を掴む
土地ごとの汚染の傾向。汚染は同心円状に広がっていない。
食品ごとの汚染の傾向。移行しやすさには大きな幅がある。
全国の市民測定所がつながって本を出している。
ちだいさんの「食べる?」という本がある。

1ー3、自分なりの基準値を持ち、その数値に疑問を持ち続ける。

誰だって、食べるならゼロベクレルがいいに決まっている。
しかし2000回以上の大気圏核実験などの影響で北半球のあらゆる食品は少なからず汚染されている。
その中で、自分なりの基準を持つこと。
各国政府の基準、防護団体、生協、研究者などによる基準。
正解はない。
自分なりに向き合って、基準を持ちながら、葛藤を続けることで「意識を持ち続ける」状態を維持できる。
意識を持ち続けることで、核戦争を終わらせ、原発を終わらせるという、根本的な解決に向かっていく力を保つことができるのではないかと思う。

2 出す
解毒、分解、排泄、代謝。
身体の力を落とさないように。高められるように。
五臓の働きを理解して、支える。



3 酸化を還元する

抗酸化ミネラル。
例:亜鉛 
ナッツ、海藻、全粒穀物、みそ、醤油、自然塩にいる。

クエン酸 クエン酸サイクルを回すことで酸化を防ぐ。


アミノ酸 抗酸化酵素を身体が作ることを助ける


4 酵素の働きを助ける

酵素のことを理解しよう。

4ー1 酵素のこと

・体内酵素のこと

体内の細胞が毎日酵素をつくってる。
ライフスタイルによって、消化酵素多めとか、代謝酵素多めって感じで、どんな酵素を作るかを毎日決めている。

・消化酵素と代謝酵素
代謝酵素は消化以外の、あらゆる体内活動をしている。
酵素による化学反応が、生命活動の実態。

・酵素の働きやすい環境をつくること
よくねる 寝てる時に多くの酵素をつくる。
よくかむ 唾液酵素による消化。噛むことで分解が容易になる。


・酵素の働きを阻害しないこと
食べ過ぎない 消化酵素を使いすぎないこと

・酵素の働きを阻害するもの 
トランス脂肪酸
抗生物質
精製食品
電磁波
ストレス
自律神経の乱れ

これらが活性酸素を増やすと、体内酵素の仕事が増える。
活性酸素の排泄の仕事が増えて、血をつくる、血をきれいにする、などの大事な仕事をする暇がなくなる。


4ー2 腸のこと

消化酵素を使いすぎないこと=腸の働きを助けること

・腸をあたためる 
生姜湿布、蒟蒻湿布、梅醤番茶、みそ汁、足湯、腰湯、足裏マッサージ

・腸をやすませる 
プチ断食、玄米甘酒

・腸に負担の少ない食事にする 
一汁一菜

・食物繊維は腸内細菌の餌になる!


・事前消化を促す 漬物、みそ、醤油、甘酒


4ー4 体外酵素の助けを借りる

・腸内細菌の酵素
腸内細菌が助けてくれている。
彼らの餌のひとつは食物繊維。
ミネラルが必要。
酵素はミネラルと組んで、働ける。
いいミネラルを摂る。

・食物の酵素
生野菜 大根おろし、自然薯、玉ねぎ、長ネギ、野草
発酵食 つけもの、みそ、しょうゆ

とりあえず、以上っすー。

これからどんどんブラッシュアップして、わかりやすくまとめていきたいと思っています。


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冨貴工房

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2019年9月13日金曜日

まんまるスリングとアップサイクル

昨年の今頃の季節から使い倒してきたスリングを茜染めしました。







そして今日、東京の友人の元に届くはずです。


生後2ヶ月くらいだから、使い始めるのにちょうどいいんじゃないかしら。

ちなみに最初に使い始めるのは、母というより父ではないかとも思ったり。

・・・

スリングに赤子を入れての、母の手仕事は注意がいりますよね。

そもそも火を使ったり、水を使う仕事は、産後100日以降がおすすめだといわれています。

洗濯、食器洗い、炊事全般、やりたくなる気持ちもわくかもしれませんが、なるべくひかえたほうがいんだろうと、僕も思います。

特に産後の女性はお産によって「精」をすごく使った後なので、立つのも辛かったり、ずっと横になっていたりすることもあるでしょう。

精はエネルギーを集める力や蓄える力。

精を使ったあとは、集中力が続きにくかったりします。

なので、集中力を要するような刃物仕事や、針仕事は控えた方がいいということなのでしょうね。

「本を読むのがしんどい」という人もいます。

スマホやPCとなったらなおさらでしょう。

そういう仕事は産後はなるべく控えて、イメージとしては「精をたくわえなおす」のがいいのでしょう。


ホルモンバランスや自律神経のバランスを見ても、産前の十月十日もジェットコースターのようだという人は少なくないといいますが、産後にやってくるバランスの変化もまた、産前のそれとは種類の違うジェットコースターのようだともいわれています。

体のシステムそのものが、「胎児に栄養を供給しながら、子宮を通常時の300倍以上の大きさに育てていくシステム」から「お腹の中の胎児が突然いなくなり、体外にいる赤子に母乳を送るシステム」
に急激に変化していく。

その関係でホルモンバランス、自律神経バランスが変化していくのですね。

とにかく産後3ヶ月くらいは、母体そのものと新生児の様子に繋がり続けることを大切に、家事すらも「体外的なこと」として優先順位の低いものとして、誰かに委ねられたら理想、といわれています。

・・・

理想は理想。

現実は現実。

実際それは難しい。

そう思います。

・・・

でも、工夫の仕方を少しでも知っておくと、できる範囲での工夫ができる、ということはあるように思います。

・・・

お産を経験したことがある人と、経験したことがない人と、現在進行形で経験中の人とが、垣根を越えて集える場所、立場を越えて「お産」について語り合える空気、増えていったらいいな、と思います。

「昔はあったよね」
といういろんな素敵なものを、どのようにして取り戻していけるんだろうと思ったりもします。

昔がすべてよかった、ということではなく、シンプルに、とても参考にあるあり方や工夫が、いろいろあると感じます。


・・・

ということでスリングに話を戻します。

赤ちゃんはどうも、揺られることが好きなようで、スリングに入れて歩いたり、ゆらゆらしていると、ぐずりが収まることがあります。

慣れてくると、洗濯、掃除くらいは、赤ちゃんをスリングに入れたままでもできると思います。

そしてスリングの使い方のオススメが「まんまるねんね」

・・・




この本に、だいぶ救われましたー。

ここに著者の解説なども載ってます。

(以下、引用します)

赤ちゃんの体をゆるめてまんまる子育て
赤ちゃんが泣きやまない、いつもぐずっている、泣いている理由がわからない…と悩んでいませんか?
そんな悩みを解決してくれるのは、赤ちゃんを「まんまる」の姿勢にしてあげること。
スーッと落ち着いて穏やかな表情になり、ぐっすり寝てくれます。
まんまる抱っこや寝かせ方、発達を促す遊びやベビー体操まで「赤ちゃんの体をゆるめる」方法がわかる、トコちゃん先生のベビーケア決定版。
「まんまる」で、ニコニコ・スヤスヤの赤ちゃんに!



紹介してくれたシンシア、本当にありがとう!

・・・

産後の赤ちゃんは、1日の中のほとんどの時間、寝ているといいます。

そして産後間もない赤ちゃんは、お腹の中にいたときと同じような姿勢になっていると落ち着くようです。

その姿勢が「まんまる」です。

知らない人が見ると、「え?そんなにまんまるにしちゃっていいの」というくらいの姿勢になっていると、落ち着くようです。

こんな形です



※先ほどの、トコちゃんのブログから画像を拝借しました。


この巻いた状態は「おひな巻き」といいます。

タオルケットやシーツやバスタオルで、この「おひな巻き」はできます。

最初はこの形にするといやがるかもしれませんが、すぐ慣れると思います。

特に産後すぐは、授乳するとそのまま寝落ちする子は多いと思いますが、その寝落ちのタイミングでそっと「おひな巻き」をしてあげると、すやすや眠ることが多いです。

おひな巻きをしないときでも、枕を高めにして、腰のあたりにも枕を入れてあげて、体の形をまんまるに近い状態にしてあげると、よく寝ます。

ということでまんまるねんね、おすすめです。

・・・

抱っこするときもまんまるにして抱いてあげるといいし、スリングに入れるときも、カンガルーみたいに、胸の前あたりに、まんまるに入れてあげると、かわいくおさまり、だいぶ落ち着きましたね。

散歩に行くときは、スリングにまんまるに入れて歩いていると、気づくと寝てたりします。

・・・

生まれてきて、、、
首がすわるようになり、、、
寝返りがうてるようになり、、、
ずりばいができるようになり、、、
はいはいができるようになり、、、
つかまりだちができるようになり、、、

といった過程の中の、とりわけ「寝返りがうてるようになる」までは、スリングとまんまるねんねはとても重宝するのではないでしょうか。

・・・

そしてとても強く思うことは、継承のこと。

僕がスリングでのまんまるねんねを体得したのは、経験者に「着付け」をしてもらってからでした。

スリングの装着の仕方、調整方法、実演してくれたことで、なるほどー!となりました。

こういう「引き継ぎ」みたいなことができるつながりを、増やしていきたいです。

・・・

スリング、使う時期って多分1年弱でしょう。

それで使い終わりなんです。

そのままタンスに入れたら、肥やしになってしまいます。

でも、本当は、使いたい人が新たに生まれているはず。

写真に載せたスリングも、本も、受け継がれて、僕たちのところにやってきました。

こういったものを、バトンのように渡していきたいと強く思います。

そのとき、ノウハウだけではなく、物だけではなく、体験してきた思いや感情などもシェアしていけるといいですよね。

・・・

そして物も「アップサイクル」していきたい。

ということで、染め直しました。

もともと、写真のスリングは、染めていない状態で頂いたもの。

それを、1年使い倒して、
「そのまま渡すのはちょっと・・・」
と思いました。

そして茜染めしたら、かわいくなりました。

受け取って、使って、染め直して、渡す。

そんな循環ができたらいいな!


・・・




この2枚のタンクトップは、おさがりとしていただいた物。

いただいて、工房で染めて、着せています。

ロボットやスヌーピーやミッキーマウスが藍や茜や麻炭や弁柄で染まっていきます。

オーダーメイドでいろいろなものを染めていると、必ず「あまりの染料」がでてきます。

その「あまりの染料」で、産着を染めています。

産着は小さいので、サクッと染まります。

・・・

乳飲み子の成長は早いので、産着はすぐに小さくなります。

産後6ヶ月くらいで、最初に来てた服はもう着れなくなりました。

そうなったら、染め直して、これからお産を迎える友達にプレゼント。

染め直して、渡す。

バージョンアップ。

アップサイクル。

「おさがり」というより「おあがり」。


・・・


「炊事洗濯家事染色」
という言葉を、弁柄工房「古色の美」のぶっさんが語っていました。

なるほどなーと思います。

日々の仕事の合間に、染色を。

家事の一部としての染色。

いきなりそんな暮らしにシフトすることが難しくても、
たまに、ならできるかもしれません。

みんなで、ならできるかもしれません。

そういう場を持ちたいですね。




使わなくなった産着を集めて、みんなで染める。


妄想としてはありありとそんな場を描いていますが、実現はあまりできていません。

まだ今は、一人で仕事の合間に産着を染めるくらいの感じです。

「世の中には、本当は誰かに手渡したいけどそのままになっている産着がたくさんあるんだろうな」
とか
「自分一人では難しいけど、誰かと集って染めたりできたらいい、と思っている人はいるんだろうな」
とか思います。

でもそんな思いを集めたり、まとめたり、場をつくるエネルギーが、今の僕にはまだ足りないな。

僕自身が、子育てと仕事といろんなことに忙しい。

でも、こうやって書くことができるところまでは来れた。

この記事を読んで、私もそう思う、とか、一緒にならやれるかも、と思ってくれる人がいたらうれしいです。




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