2016年7月8日金曜日

憲法についての補足

憲法について先ほどの投稿に補足します。
2012年にカフェオハナで行われた「プロジェクト99%」による憲法カフェで安部芳裕から頂いた資料を元にまとめました。

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■法律と憲法の違い
・法律は、国民の自由を制限して、 社会の秩序を維持するためのもの
 =国民に対する歯止め
・憲法は、国家権力を制限して、 国民の人権を保障するもの
 =国家に対する歯止め

■天賦人権説
すべて人間は生まれながら自由・平等で幸福を追求する権利をもつ。
18世紀の啓蒙思想家により主張され、フランス人権 宣言や米国独立宣言に具体化。

■絶対王政→民主主義
君主に主権(政治についての決定権)が存する
民主主義
人民にこそ主権が存する⇒普通選挙制の確立

■近代立憲主義
個人の人権を保障するために、権力の行使を 憲法で制限するという考え方
国王の横暴に歯止めをかけるために生まれた

民主主義社会においては多数派による権力行 使に歯止めをかけるという意味合いを持つ

■憲法の必要性
多数派の意見が必ずしも正しいわけではない。
多数派の意見(法律)にも歯止めが必要。 多数派の意見でも奪えない価値がある。

■日本国憲法改正草案 自由民主党
平成24年4月27日(決定)
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【現】第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、 国会議員、裁判官その他の公務員は、この 憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
↓【改】102条 全て国民は、この憲法を尊 重しなければならない。2 国会議員、国務大臣、裁判官その他の 公務員は、この憲法を擁護する義務を負う。
■解説
本来、国民には憲法を守る義務はない。
国民には国家権力を行使する者に憲法を守らせ
る義務がある。
天皇・摂政を削除=憲法を超越した存在へ?

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【現】第二章 戦争の放棄第9条1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠 実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又 は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永 久にこれを放棄する。2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、 これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
↓【改】第二章 安全保障第9条(平和主義)1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠 実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力に よる威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段と しては用いない。2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。

【新】第9条の2(国防軍)1 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保する ため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。 2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律 の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。 3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動 のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全 を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩 序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動 を行うことができる。4 前2項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機 密の保持に関する事項は、法律で定める。5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に 伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行 うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。 この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保 障されなければならない。
【新】第9条の3(領土等の保全等) 国は、主権と独立を守るため、 国民と協力して、領土、領海及び 領空を保全し、その資源を確保しなければならない。
■解説:国民の国防義務=徴兵制も可能?

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12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、 国民の不断の努力によつて、これを保持しなけ ればならない。又、国民は、これを濫用しては ならないのであつて、常に公共の福祉のために これを利用する責任を負ふ。
【改】第12条(国民の責務) この憲法が国民に保障する自由及び権利は、
国民の不断の努力により、保持されなければな らない。国民は、これを濫用してはならず、自 由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚 し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。

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【現】第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、 自由及び幸福追求に対する国民の権利について は、公共の福祉に反しない限り、立法その他の 国政の上で、最大の尊重を必要とする。
↓ 【改】第13条(人としての尊重等)
全て国民は、人として尊重される。生命、自 由及び幸福追求に対する国民の権利については、 公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他 の国政の上で、最大限に尊重されなければなら ない。

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【現】第18条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受 けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、 その意に反する苦役に服させられない。
【改】第18条 何人も、その意に反すると否とに かかわらず、社会的又は経済的関係において身体 を拘束されない。2 何人も、犯罪による処罰の場合を除いては、 その意に反する苦役に服させられない。
■解説
「いかなる奴隷的拘束も受けない」が変更
政治的、軍事的には拘束可能?

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【現】第19条 思想及び良心の自由は、これを 侵してはならない。
【改】(思想及び良心の自由)第19条 思想及び良心の自由は、保障する。
第19条の2(個人情報の不当取得の禁止等) 何人も、個人に関する情報を不当に取得し、
保有し、又は利用してはならない。
取材、署名運動、連絡網作成などが行いにくくなる?

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【現】第21条 集会、結社及び言論、出版そ の他一切の表現の自由は、これを保障する。
【改】第21条 集会、結社及び言論、出版そ の他一切の表現の自由は、保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩 序を害することを目的とした活動を行い、並 びにそれを目的として結社をすることは、認 められない。

■解説
政府が「公益及び公の秩序を害する」と判断すれば、デモ、抗議行動、言論などを規制することが可能?

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【現】第36条 公務員による拷問及び 残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
↓【改】第36条 公務員による拷問及び 残虐な刑罰は、禁止する。

■解説
「絶対に」を削除! 公益及び公の秩序を害すれば拷問及び 残虐な刑罰の可能性も?
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【現】第66条1 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる 内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければ ならない。3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯し て責任を負ふ。
↓ 【改】第66条(内閣の構成及び国会に対する責任)
1 内閣は、法律の定めるところにより、その首長である内閣総理大臣及びその他の国務大臣で構成する。
2 内閣総理大臣及び全ての国務大臣は、現役の軍人であってはならない。
3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯し て責任を負う。
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【新】第九章 緊急事態
(緊急事態の宣言)
第九十八条
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、
内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な
自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に
必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、
閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。

緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、
事前又は事後に国会の承認を得なければならない。

内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決が
あったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決
したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要
がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議
にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。
また、百日を超えて緊急事態の宣言を
継続しようとするときは、百日を超えるごとに、
事前に国会の承認を得なければならない。

第二項及び前項後段の国会の承認については、
第六十条第二項の規定を準用する。
この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、
「五日以内」と読み替えるものとする。

(緊急事態の宣言の効果)
第九十九条
緊急事態の宣言が発せられたときは、
法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の
効力を有する政令を制定することができるほか、
内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、
地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。

前項の政令の制定及び処分については、
法律の定めるところにより、
事後に国会の承認を得なければならない。

緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の
定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の
生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発
せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。
この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、
第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、
最大限に尊重されなければならない。

緊急事態の宣言が発せられた場合においては、
法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、
衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及び
その選挙期日の特例を設けることができる。
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第九章 改正
【現】第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の 賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なけれ ばならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の 際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、 この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
【改】第100条 この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議に より、両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国 民に提案してその承認を得なければならない。この承認には、法律の 定めるところにより行われる国民の投票において有効投票の過半数の 賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、直ちに憲法 改正を公布する。
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【現】第十章 最高法規
第97条 この憲法が日本国民に保障する 基本的人権は、人類の多年にわたる自由 獲得の努力の成果であつて、これらの権 利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び 将来の国民に対し、侵すことのできない 永久の権利として信託されたものである。
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