「安倍政権による改憲を阻止する意思を持った候補者の議席獲得」
を実現するために。
そして「安倍政権による改憲」または「自民党改憲草案に基づく改憲」を止めるために。
昨日一昨日、東京で選挙活動に関わってみて感じたことの中から「憲法」に関することを書いてみます。
憲法、改憲、というあたりのことについて、想像以上に「共通の情報を持っていない」気がしました。
たとえば、座間宮ガレイさんが指摘していましたが
「三宅洋平は改憲についてどんな意見を持っているのか」
についてぱっと答えられる人が少ない、ということがあります。
また「”安倍政権による”改憲を止めるために、なぜ今回の選挙が大事なのか」などについても、少し整理をしておいたほうがいいのかなと思いました。
そして実際、この金曜、土曜に、もうひと押し、投票依頼などをする際に「この辺りの事を知っておくと、知り合いに話をしやすい」と思う人がいるなら書いておきたい、と思ったので、いろんな資料広げて、改めて整理してみました。
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■その前に「そもそも今から特定の政党や候補者への投票を依頼する意味があるのかな」と思っている人へ。
・近年の自民党の得票率は、有権者全体の20%弱。
そして
・7月6日の東京新聞朝刊
「選挙区、比例代表とも40%以上が投票先について未定」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016070690070735.html?ref=rank
決めかねている人達に対して声をかけることの意味は大きいといえるでしょう◎
・・・
さらに、その前に、
コミュニケーションをとった相手(またはこれからとる相手)が「投票の方法がわからない」場合のことも気になるのでちょっと書いておきます。
↓
期日前投票は「何も持って行かなくても」各市町村役所で出来る。
当日も「何も持って行かなくても」各投票所で出来る。
※投票所は各地域の選挙管理委員会や役所のHPでチェック。
※参考サイト:
・東京都選挙管理委員会事務局:問い合わせ先
http://www.senkyo.metro.tokyo.jp/contact/
・15分でわかる!公職選挙法ガイド(SEALDs POST)
http://sealdspost.com/archives/tag/%E5%85%AC%E8%81%B7%E9%81%B8%E6%8C%99%E6%B3%95
さて。では。
■「今回の参院選が改憲を阻止するための重要な選挙である」ということについて。
↓
◎憲法改正の発議についての流れを書いておきます。
参考:総務省HP「憲法改正の発議」より
http://www.soumu.go.jp/senkyo/kokumin_touhyou/kokkai.html
「国会議員(衆議院100人以上、参議院50人以上)の賛成により憲法改正案の原案が発議できます」
※現在衆議院では、定数475人のうち341人が改憲に前向き。
今選挙前の参議院では、定数242人のうち147人が改憲に前向き。
※「改憲派」の中には「憲法9条を”解釈によって武力行使ができるようにする”などのアレンジを効かせられないように、より平和的なものにする」という考えや「基本的人権の尊重をよりはっきりさせる」という考えの人も含まれる。
もちろん「安倍政権による改憲」「自民党改憲草案に基づいた改憲」には反対、という「改憲派」もいる。
※ややこしいですが、ここでは後者の「安倍政権による憲法改正」「自民党改憲草案に基づいた改憲」を行うことに賛成している政党、議員および候補者を「改憲勢力」「改憲に前向き」としておきます。
※なお「東京選挙区 三宅洋平」は、、
「安倍政権による改憲には100%反対。今後憲法9条をより平和的なものする提案をしている。」
というスタンスです。
↓
「この「原案」は衆参各議院においてそれぞれ憲法審査会で審査されたのちに、本会議に付されます。」
※すでに自民党は改憲草案を完成させています。
・日本国憲法改正草案(自由民主党)
http://constitution.jimin.jp/draft/
・自由民主党「日本国憲法改正草案」について
(東京弁護士会 伊藤 真)
http://www.jicl.jp/jimukyoku/images/20130131.pdf
・「赤ペンチェック 自民党憲法改正草案」
(伊藤真/大月書店)
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b110061.html
↓
ここからが大事!!
「両院それぞれの本会議にて ”3分の2以上の賛成”で可決した場合、国会が憲法改正の発議を行い、国民に提案したものとされます。」
現在、衆議院は
定数 475
改憲勢力 341
ということで、
議長も含めた衆議院議員総数の2/3 317
を上回っています。
※改憲勢力:自民、公明両党の与党と、改憲に前向きなおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の「改憲四党」 など
一方、参議院は今回の選挙前の時点で
定数 242
改憲勢力 147
ということで、
議長も含めた参議院議員総数の2/3 162
を下回っています。
この242議席のうち、半分の121議席をめぐって今回選挙が行われています。
※今回選挙する121議席を「改選議席(略して改選)」と呼び、残りの(2019年に選挙する)議席を「非改選議席(略して非改選)」と呼びます。
非改選のうちの改憲勢力は、
非改選 121
改憲勢力 84
改憲を発議するために必要な議席162-非改選84=78議席。
つまり、今回改憲勢力が78議席を取ると、衆参両院での改憲発議が可能になるということです。
※注意:
先日、非改選参議院議員の中から新たに4名が「改憲に前向き」との意思を表明。
となると、改選勢力が74議席取ると発議可能になる。
時事ドットコム(7月6日)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016070600682&g=pol
「なお、憲法の改正箇所が複数ある場合は、内容において関連する事項ごとに区分して発議されます。」
※自民党は事実「複数の改正箇所を一挙にすべて変えるための発議をするのではなく、事項ごとに細かく発議していく」スタンスを取っています。(そのスタンスを貫くなら、前述の「改憲草案」のすべてを一挙に発議するのではなく、段階的に進めていくことになります)
↓
「国民投票は、憲法改正の発議をした日から起算して60日以後180日以内において、国会の議決した期日に行われます。 また、国民投票の期日は、官報で告示されます。」
以上、総務省HPによる「改憲発議に関する流れ」を軸に解説してみました。
なお、2007年に制定された「国民投票法」によると「有権者全体」ではなく「有効投票」の過半数を得ることで改憲が可能になります。
つまり「改憲」そのものに関心がなかったり、国民投票の存在を知らない人が多い状況、さらに具体的に言えば「衆参両院の2/3以上が改憲勢力である状況」+「投票率が低い状況」=「組織票を持つ改憲勢力に有利な状態」のまま国民投票になった場合、改憲を阻止することは相当難しいだろうということが予想できます。
今回の選挙が
「安倍政権による改憲」
「自民党改憲草案に基づく改憲」
に待ったをかける為のラストチャンスと言われるゆえんはこの辺りにあるのではないでしょうか。
なお、「安倍政権による改憲」についてこれから発議されることが想定される内容は、現行憲法96条だと言われています。
この96条を変える目的は、ざっくり言えば「改憲のための手続き」のハードルを下げること。
具体的には
「衆参両院の2/3以上で発議可能→衆参両院の過半数で発議可能」
にするというものです。
この是非については、考え方がそれぞれです。
「そもそも2/3以上というのは世界的に見てもハードルが高すぎる」
という意見や
「憲法は”国民が国家に歯止めをかけるため”にあるもの。
”多数派の意見だからといって奪ってはいけない少数派の権利”を守るという考えが近代立憲主義。
この近代立憲主義に基づくなら、政権与党だけではなく野党も含めて十分な議論を重ねた上で発議を行うのが妥当。
”2/3以上”を”過半数以上”に変えると、国家運営を担う与党の意見のみで憲法を変えることになってしまう。これは近代立憲主義に反する。」
という意見(後者ばかり長くてすみません。)など、色々です。
意見は色々。
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憲法の中身の是非の議論も大切だと思います。
そしてもうひとつ、中身と同じかそれ以上に大切な「憲法を作る、変える行為の進め方」
このことについて問われている、というのが今回の選挙なのではないかと思っています。
憲法9条のありかた。
国防のありかた。
個人の尊厳。
基本的人権。
中身についてじっくり話し合うことはとても大切なことだと思います。
そして、そのような時間を十分に取るためにも、、、
「そもそも憲法とは」ということを考えること、もともとの憲法において「主語」になっていた(つまり主体である)国民による十分な議論、国民が選出した与野党それぞれの意見を交わし合う順分な議論をする事自体が難しくなっていく流れに入っているということが大切なことなのではないかと個人的には思っています。
・・・
明確な意見を持っている相手の、その意見を変える事は難しいとしても「なんだ。知ってれば意見も行動も変わったのに。」という、いわば”取りこぼし”をなくす事は大切なことだと思います。
以上、何かの参考になればと思います。
以前、特定秘密保護法についてまとめた記事をウォールにアップしたら、数日後にタイムラインから消えてしまったということがあったので、一応、ブログにも同内容を書いておきますね。
では!